コワーキングスペースの歴史
日本テレワーク協会刊『テレワークで働き方が変わる!テレワーク白書2016』より
松村執筆
ICTを活用するSOHOワーカーやノマドワーカーが自営型テレワーカー、あるいはフリーランステレワーカーと呼ばれています。
2003年にはICT企業が集積した六本木ヒルズが開業します。森ビルは六本木ヒルズ内にコワーキングスペースと呼べる「アカデミーヒルズ六本木ライブラリー」を同時に開設しました。法人向け賃貸オフィスビジネスを展開する森ビルが早くもSOHO・個人ワーカー向けのビジネスを始めたことは注目されます。その後森ビルは、2010年、東京・平河町の平河町森タワー内に「アカデミーヒルズ平河町ライブラリー」を、また2013年には、東京・赤坂のアークヒルズ内に「アカデミーヒルズアークヒルズライブラリー」をオープンさせました。
施設名にコワーキングスペースとついた施設がオープンしたのは、2010年5月に神戸でオープンした「カフーツ」からといわれています。東京初は、2010年8月に開業した「PAX Coworking パックス・コワーキング」です。その後、コワーキングスペースは急拡大しています。
インキュベーション施設やテレワークセンターが行政主導で整備され運営されているのに対して、コワーキングスペースは民間が運営している点が一つの特徴です。
2012年4月26日、渋谷のヒカリエの開業にあわせて、コクヨファニチャー株式会社がコワーキングスペース「クリエイティブラウンジMOV」をヒカリエ内に開業させました。
近年では大手不動産企業の参入も盛んになってきています。
東急不動産は、2013年3月に東京・南青山にコワーキングスペースとシェアオフィス機能を併せ持つ、東急不動産初となる「ビジネスエアポート青山」を開業しました。また2014年3月には、品川・港南に「ビジネスエアポート品川」を、続いて2014年11月に東京・丸の内に、ビジネスエアポート東京とビジネスエアポート丸の内の2拠点を同時にオープンさせました。
三井不動産は、2014年4月柏の葉スマートシティ(千葉県柏市)に、コワーキングスペース「KOILパーク」を開業しました。「KOILパーク」のほか、3Dプリンターなどのデジタルファアブリケーションができる「KOILファクトリー(デジタルモノづくり工房)」やカフェ、スタジオなどを併設しています。また、同じ2014年4月、東京・日本橋のマンダリンオリエンタル東京の近隣に、コワーキングスペース「Clipニホンバシ」を開業させました。
住友不動産は、2014年10月、住友不動産初となるコワーキングスペース「ワールドラウンジ新宿」を新宿住友ビル49階にオープンさせています
地方のコワーキングスペース
コワーキングスペースは、地方でも開設されるようになってきています。図表**は、全国のコワーキングスペースのポータルサイト「Coworking.com」に掲載されているコワーキングスペースの都道府県別の数を示している。合計で300ヶ所である。東京が最も多く44.0%、ついで大阪が10.7%となっています。東京都・大阪府を除いた他の都道府県が45%ほどあり、地方においても多数のコワーキングスペースが開業していることがわかります。