ふるさとテレワークの展開
ふるさとテレワークを成功させるために
2015年度のふるさとテレワークの実証実験事業が終わろうとしている。採択された15地域はいずれも継続・自走を決意している。今回の事業で進出企業のICTは最低限必要な仕事環境と生活サービスが満たされる。
今後、進出企業・移住者には、地域に溶け込み地域に受け入れられるための課題が待ち受けている。この課題を解決できれば、継続移住の可能性が高まってくる。
1)仕事環境の充実
一般に、仕事環境は、インターネットの速度、企業コンピュータシステムの使いやすさ、同僚・上司とのオンラインコミュニケーションのしやすさに依存する。仕事環境の充実は企業の努力によると言える。
2)移住先生活環境の充実
生活環境には、居住スペースの環境、小中学校・高等学校や進学塾、英会話学校などの教育環境、日常の買い物環境、買い回り品などのレジャーとしてのショッピングセンターの有無などのレジャー環境などを言う。当然ながら一般的には大都市圏よりもこれらのサービス水準は低下する。
しかしながら、一方で大都市圏よりも高まる生活環境も少なくない。以下個別に見ていく。
・移住者の教育環境
一方、自然環境は優れ、動植物などに触れる機会は多く、いわゆる人間性ある教育環境の質は高いが、子供を自然の中で教育するためには、学校教育外であるから親が自然の中に連れて行き、親自ら子供に関わる必要がある。幸いテレワーカである親のワーク時間は大都市圏に比べ短縮するため、そうした時間が取れる。
こうして大都市の教育は受けさせることはできないが、自然のなかでの教育は与えることができる。
・移住者の買い物環境
ECサイトの充実により、買い物に不自由を感じることは少ないであろう。ECサイトが地方に多いこともあり、むしろ身近に感じることもあるであろう。
また、地産地消が可能であり、添加物の少ない食品を得ることができるため、健康にも安心安全な食品を買うことができる。
むしろ買い物環境は地方の方が優れている面は少なくない。
・移住者の交通環境
地方は公共交通機関が発達していないため、移動の自由を手に入れるためには、自転車やバイク、マイカーは必須である。移住ワーカーにもよるが広範囲な移動の自由を求めるであろうから、一般的にはマイカーは必須と思われる。自動車の運転が好きなワーカーには苦はないであろうし、むしろ生活の喜びかもしれないが、運転が好きでない、したくないというワーカーや配偶者には辛いだろう。
・移住者の趣味環境
地方での生活は、通勤時間を含めて仕事時間が短縮し生活時間が広がる。この時間を趣味の時間に充てることになる。読書や映画鑑賞、音楽鑑賞、楽器の演奏、ガーデニングなど自宅で行う趣味は、居住スペースが広く、グランドピアノを置き演奏するリビングルームや本棚で一杯にした蔵書部屋、大スクリーンと大スピーカーの映写室など、専用の部屋を設けることもできるだろう。ガーデンニングも庭が狭くてできないというようなことは考えられない。
日曜大工も専用の部屋で大型の工具を使って、大都市ではできないものを作ることができる。
アウトドアスポーツは、海であれば、プレジャーボートを所有することも可能である。サーフィンやカヌー、釣りなどできないものはない。釣り船であれば廃棄されるようなものを安く手に入れることができる。係留費用も大都市と比較すれば格安である。
山であれば、山歩きから、本格的な登山、登山の後は温泉である。冬はスキー、スノーボードなど思い立ったときにできる。
草野球、サッカー、テニス、ゴルフなどのスポーツは、施設と仲間が必要で、地域の事情による。草野球やサッカーなどをやりたい場合は、地域コミュニティとの付き合いが必要になる。
・移住者のコミュニティ環境
コミュニティ環境は、独身者と既婚者の夫婦で分けて考える必要がある。
独身者は、地域コミュニティとの関わりを持ちたくないと言うことであれば、最低限の関係で済む面もある。ただ、地域清掃や祭事などには参加を求められたりする。
既婚者の場合は、特に子供が低学年の場合や配偶者が無職で自宅にいる場合は、付き合いは精神衛生上からも必要であろう。移住者になれている地域とそうでない地域があり、地域コミュニティに溶け込むにはそれなりの苦労がある。しかし、地域で生きていくための知恵を知るために、自分自身と子供のためには避けられない。
生きていくことが地域コミュニティと付き合うことであると考えれば、地方のコミュニティは健全であると考えるべきである。
3)地域全体でサポートする仕組みづくり
以上見てきた、1)2)は、企業特性や地域特性である。
ふるさとテレワーク成否の鍵は、これらにどのようなサービスを地域が与えられるか、サポートできるか、移住者が移住したくなる地域かどうかにかかっている。
>>>ふるさとテレワークの展開・ふるさとテレワークのための地域づくり
そのなかで、地方の生活に”あこがれ”をいだかせるリーダー、メンターと発掘・育成
2016.02.21